住所不定無職22歳男性

 貴重な肩書きを期間限定で手にいれてしまった。折角なので記録に残しておこうと思う。世間はいま新型コロナウイルスで阿鼻叫喚の地獄絵図、生活用品は売り切れ、連日死者、感染者が増加して、ついには東京だけではなく全国で非常事態宣言がでて、外出自粛のストレスか、日夜Twitterではさまざまな論争が飛び交い(いつもか?)、アメリカとロシアの原油価格がマイナスになって、マヤやノストラダムスも墓から出てきて土下座でもしそうな勢いだ。

 映画や小説のような芸術的で壊滅的な終末ではなく、真綿で首をゆっくりと絞められるような絶望感の中を僕らはいま生きている。これは僕が生まれた中で、間違いなくトップクラスの非常事態だ。

 

アフターコロナではなくウィズコロナ、らしいよ

 この事態がきれいに収束するのにはかなり時間を要するから、コロナのあとのことじゃなくて、折り合いをつけて生きていく道を探そうって感じらしい。しらんけど。まぁなんともディストピア的ではないか。マスクは手に入らないからいまの僕が東京にいったらタバコで弱りきった肺も相まって、多分即死する。

 じゃあ僕が絶望にうちひしがれているかと言うと、不謹慎かもしれないが、別にそんなことはない。四月六日を予定していた文化服装学院の入学式はなくなり、四月二十日を予定していた授業開始日が更に遅れて五月七日になり、四月十日に予約していたジェットスターが二日前に欠便になり、うかうかしてる間に非常事態宣言がだされて五月六日まで大分空港からはジェットスターが飛ばなくなって、陸の孤島と化した。

 さて、どうしたものかという感じだ。二年間すんだいとしの我が家は三月二十五日(奇しくも卒業式と同日である)に退去だったので、三月末から知人の家に転がり込んだは良いものの、こんなに長期滞在になるとは思って無かった。三月一杯でバイトはやめてしまったし、お金もそこまであるわけではないし、買った本は読んでしまった。仕方がないので、家事をしている。料理をするのは元から嫌いではなかったが、更にちょっと好きになった。ただまぁ、やることがない。楽器もゲームも送ってしまったので、非常に困っている。

 閑話休題。タイトルの話に戻る。といっても渦中におかれた所感をなんとなくまとめたかったに過ぎないので、もうほとんど書くことはないのだけど。

 

 元々十日に東京にいく予定だったので、市役所で転出届は出したのだけれど、五月まで大分に閉じ込められることになりそうなので、転入届がだせない。しばらく住民票が何処にもないホームレスになってしまったというお話。加えて、学生証を返還してしまったので、大分大学生ではないが、まだ文化服装学院生でもない。おまけに免許証の発行もないので、身分を証明するものが何もない。

 よって住所不定無職。と言うちょっと面白いことになっている。言いたかったことはそれだけ。