大人になる。ということ

 大人は~というロックバンドが嫌いだ。

 肥大化した対象に対してもの申そうとする姿勢も、とうに成人しているのにも関わらず、自らをまるで子供の代表かのように語らうのも気にくわない。今日はそういう話をしようと思う。

 きっと結論はでない。気にくわないと言うだけだ。

 

僕は大人だ。

 正しくは大人であろうとしている。大人っぽいよねとか、大人びてるよねと言った意味ではなく、マトモな成熟した人間であろうと努めている。

 多分十七歳頃から性格がなんとなく固まってきて、そこから少しずつ変化はあるものの、たいして芯を曲げることなく二十一歳まで成長してきたと思う。当時から正しくあることを心がけては来たが、成人するまでは自らを大人だと名乗ったことはなかった。

 昔と何ら変わらない性格ではあるが、いまは自分のことを大人だと思っている。そうあろうとしている。小学生の頃、大人なら何でもできるのにと信頼していた存在であろうとしている。成ってみればなんのことはない、ただ同じ道の上に乗っかった、少し先に立っているだけの存在ではあったけれど。

 

そもそも大人とは

 なんだろうか。僕の答えはさておき、一般的に見れば二十歳を越えているということではないだろうか。まぁ2022年4月からは十八歳から成人ということになるようだが、それはおいておこう。かつての日本では十五歳で元服を迎え、大人の仲間入りであったようだが、それは流石に今の社会制度にはあっていないだろう。

 そういった時代の違いを除けば、諸外国も含め、概ね十八~二十一歳程度で成人とみなす場合が多かった。それはつまり、ある程度精神状態が成熟して、その社会制度において自立することが可能であると見なされる年齢だろう。

 と、言うのが個人的な価値観を考慮しない場合の客観的な意見だろう。

 

何が嫌なのか

 前述した、子供を名乗る大人の何が嫌なのか。それは自らは未だ未熟であると先に認めることで、責任逃れを行っているように思えるからではないか。

 そもそもロックバンドというのは、なにかと戦っていなければ生きていけない生き物である。それは日々の葛藤だったり、恋愛だったり、政治だったり、大人だったりするのだ。それらに対して反骨精神を剥き出しにしなければ、毒牙を抜かれていい曲が書けなくなってしまうのではなかろうか。

 だから、大人と言う体制側に回るのを恐れて子供のふりをして自分も回りもだましているのではないだろうか。だったらダサいからすぐにでも大人という自覚を持っていただきたい。それでいてより強大な何かに立ち向かっていただきたい。

 

 もしくは、社会制度自体に不満を向けていて、二十歳で大人なんてふざけるな! お前らの常識で俺らを縛るな! というスタンスだろうか。それならば僕は許せる。というか寧ろ歓迎だ。面倒な音楽好きなので、ロックバンドには常に尖っていてほしいからだ。ただ、それならもう少し早く成熟していただきたいものではあるが……。

 

結局

 世間は二十歳を越えると大人としての振る舞いを求めるからそれに従って大人であろうとするべきだと俺は思うけど、世論とか法制度とかに素直にロックバンドが従ってしまうのはなんか嫌だなぁと言う面倒な音楽ファンがここに居るのだ。あー、面倒くさい。と思ったらここまでの記事とほぼ同じツイートを過去にしていて馬鹿らしくなった。

 興味がある人はこの一連のツイートを読んでみてほしい。

 相変わらずこの相克する自己矛盾に答えはでないままだが、どうしたものか。

 

僕らは不完全変態である

 例によって手元にうってつけの文章があったので抜粋する。

 青春という病に犯された十代の少年と、夏を謳歌する二十代の青年との関係性は完全変態だ。僕らに羽はないし、甘い蜜を吸う口もない。ただ自らを吐き出した常識によって、蛹のようにがんじがらめに縛って生きていくしかないのだ。羽化の時を待って。但し、その結果が必ずしも素晴らしいものであるともまた、限らないのだろう。羽化した結果が美しい蝶であるかもしれないし、忌み嫌われる蛾であるかもしれない。あるいは、自ら、もしくは周囲から張り巡らされた糸によって、成虫になることができずに無惨に朽ちていくかもしれない。

 これを書いたのは僕だが、これはこの文章の詩的な表現であり、僕の意見ではない。この表現になぞらえて言うなら、僕は子供と大人の関係は不完全変態であると思う。

 まぁ無変態と言うのが近いような気はするし、そもそも変態という言葉を人間に使うのはおかしいのはわかっているが。

 大人と子供の間に明確な差など存在しないのだ。大人びた子供もいるし、子供っぽい大人もいる。それを決めるのは結局回りの人と自分自身の主観でしかないのだろう。

 ただし、主観では子供だと思っていても世間に大人と見なされると、それ相応の振る舞いを求められるし、そうできなければ迷惑がかかることもあるだろう。僕は常々自分のやりたいことをやっていたいと公言しているが、それでも、だれかに迷惑をかけて生きていくのは違うと思うのだ。だから僕は大人だと思って生きていこうと思う。

 それに大人だからといって気張る必要はない。別にそこで完成されていなければならないわけではないのだから。むしろ大人になってからの方が人生は長い。少しずつ成長していけばいい。

 

https://music.apple.com/jp/album/sure/1106626995?i=1106628035