バンドを始めます

 環境のせいにして、時間のせいにして逃げてきたけど、もうちょっと言い訳が出来ないのでバンドをいよいよ始めます。

 すごく大きな挫折を経て、そこからずっと音楽をやって来て、音楽に生かされて来て、救われたことはないと思うけど、生き甲斐だし、酸素だし、音楽のことを考えない日はなかった。

 高専の時はメンバーが乗り気じゃない、作曲ができないと言って、外の箱でやる部員を羨ましく思ってたし、大学の時は二年しかない、大分じゃメタルコアは出来ないと言って、やっぱりライブハウスで頑張ってる人を羨ましく思ってた。俺にもチャンスがあればって。

 上京して、もしかしたら今までで一番忙しいかもしれないけれど、もう環境のせいにはできないので、いい加減言い訳するのはやめようと思います。俺は音楽を聴くだけでは満足できないので。

 ありがたいことに、一緒にやってもいいよと言ってくれる人が集まってくれて、技術はまだまだだけど、メロディやフレーズなんかも思い付いたりして、いままでやって来たことは全然ムダじゃないんだなと思う。

 いまワンコーラスできてる曲が三曲あります。八月頭に、初めてメンバーとスタジオに入る予定で、どうなるかなんてわからないけど、俺だけじゃ思い付かなかった構成なんかが出来たりして、ちゃんと曲になって、コロナがどうなるかわからないけど、秋頃にはライブが出来れば嬉しい。

 

 本気でバンドマンを目指そうと思ったこともあったけど、俺はやっぱり凡人なので、プライドや常識みたいなもんが邪魔をして、大学を卒業して、少しは勤め先が見つかりそうな服飾をやったりしてる。デザイナーになりたいならどのみち大きな賭けであることには違いないけれど。

 でも全然、音楽を諦めてしまったわけじゃなくて、むしろずっと音楽は好きで、最近ちょっと自分が伸びてきてるのも実感したりして、歌も作曲も作詞もまだまだだけど、嬉しい。一人でショボい音でフレーズ作って、出来た! っていってメンバーに聞かせたりしている。

 俺は欲張りなので、結局音楽も諦められない。だから全部やろうとしてる。服も音楽も、他のことも。服が届かない人には音楽を、音楽が届かない人には服が届いて、そこに込めた意志みたいなものを伝えたいと思う。人を変えることは簡単じゃないけれど、俺にも出来ることがあるかもしれないと思ったので。

 服も音楽も届かない人には何が届くだろうか。わからないけど、積み上げてきた二十二年分の何かと、ここから先積み上げていく何かをぶつけたい。人生一回なので。やりたいことは全部やって死にたい。後悔しないように生きるって月並みな表現で、口にする人は多いけど、実行できる人は少ないような気がする。

 明日死ぬつもりで生きるっていうと、出来ることやしたいことが限られてしまうので、僕は一ヶ月後、死んだとしても後悔しないように生きていきたい。

 だから音楽を作ります